VR撮影での4KSDI-MINI/コンパクトカメラモジュールの使用例
公開日:2019/01/30最終更新日:2019/01/31
カナダのIO Industriesの「Victorem 4KSDI-MINI/コンパクトカメラモジュール」。
2018年のInterBEE Technohouseブースにて紹介して以来、多くの皆様にご注目いただいている、IO Industriesの「Victorem」シリーズです。
特に「4KSDI-MINI」は、その小ささと撮影品質の高さに驚きをもって見ていただきました。
この小型で高性能な4Kカメラを、メーカーのIO Industriesはシネマ用サブカメラとして、車載や大きなカメラが入れないような狭小範囲の撮影で、品質を求められるような場面で使用してもらおうとプロモーションしてきました。
【海外の撮影機材紹介サイト「Red Shark News」より】
VR撮影での4KSDI-MINIの運用
しかし、実はInterBEEでの紹介以来、特にVR撮影をお仕事にされているお客様からお声がけをいただいております。
VR撮影は魚眼レンズを使用し全天球に近い範囲を一度に撮影し、編集ソフトウェアで展開することでコンテンツ制作をします。
再生方法の媒体に合わせ、3D視差を使用した2台のカメラでの撮影も行われます。
IO Industriesも4KSDI-MINIの製品写真作成時に、フジノンの1インチ魚眼レンズを使用した写真を採用するなど、4KSDI-MINIでのVR撮影は少なくとも意識していたようです。
3D-VR撮影を行う場合、4KSDI-MINIには有利なポイントがあります。
4KSDI-MINIは縦横62ミリの大きさで、これは成人男性の両目の幅に近いサイズです。
つまり、3D視差撮影で2台並べて使用すると、一番自然な視差を得ることができるのです。他のカメラでこれを実現するには、ミラーレスカメラを縦配置で2台使用するような、特殊なリグを組まなければなりません。
収録にはConvergent Design Odyssey7Qを2台使用、4KSDI-MINIは設定変更によって、12G-SDIと3G-SDI-QuadLink-2SIの2通りの4K60p出力方法を選択できます。Odyssey7Qは3G-SDI-QuadLink-2SI入力ですので、HD-BNCを4本使って接続します。
Evertzのタイムコードジェネレーターを使用しLTCトリガーでREC-ON/OFFすることで2台のOdyssey7Qは同期した収録を可能にしました。
また、VR撮影用レンズとしてはメジャーな、EntaniyaのHAL200での運用も可能です。
画質面では、4KSDI-MINIには標準でローパスフィルターが装着されているのですが、VR撮影の展開時にローパスフィルターによるディテール不足が発生する可能性があります。
その為、発注時にローパスフィルター無しを選択することが可能です。
4KSDI-MINIに採用されているSONY製CMOSセンサー(1インチグローバルシャッターモデル…Pregius IMX305、2/3インチローリングシャッターモデル…Exmor-R IMX183)は、高感度、低ノイズで評価されているセンサーです。SN比が良いということは、展開時に拡大されるノイズの影響を低減できることから、VR撮影には需要なポイントと言えます。
また、4KSDI-MINIはSYNC入力を持っています。3値シンクを2台の4KSDI-MINIに入力することで、出力信号のタイミングを完全に一致させることが可能です。映像タイミングの左右完全一致は自然な3D-VRにより適しています。
EFマウントレンズを使用する場合には、C/EFアクティブマウントアダプターを使用します。アイリスリングの無いEFレンズを使用する際に、このマウントアダプターを使用することでIO Industriesのオペレーションからアイリス、フォーカスをコントロールすることができます。左右のレンズを同じ設定にしなければならない3D-VRの場合、これは有効なポイントです。
VR撮影以外にも、この高性能小型カメラの優位性を生かしたアイディアを、是非、使用してご確認ください。
協力
株式会社インタニヤ様
株式会社シータ様