リスナーとの距離を重視したエフエム香川様スタジオ更新 -SX2導入事例-
公開日:2021/07/13最終更新日:2023/12/01
エフエム香川様(以下敬称略)では2007年にDHD.audioの52/SXミキサーを2つのスタジオに導入し生放送で使っていましたが、この度局舎移転をきっかけにスタジオ設備を心機一転し、ミキサーもDHD.audioのSX2へ入れ替えることになりました。
吹き抜けのロビーに面したオープンなスペースに隣接したスタジオは、一般の見学者との距離が近いオープンな作りになっています。旧社屋でもスタジオを見れる見学スペースがありましたが、これまで以上にリスナーと近いエフエム香川になりました。
2つのモードに対応した第1スタジオ
第1スタジオは「DJモード」と「SUBモード」の2つのモードに対応しています。
「DJモード」
サブ(副調整室)側だけで運用するワンマンスタイルで、パーソナリティがミキサーを操作します。
DJモード(ワンマン)で運用中はスタジオを使用していないので、スタジオ単独で動画撮影や別収録が行えます。
「SUBモード」
スタジオ側にパーソナリティー、サブ(副調整室)側にミキサーエンジニアがいる通常のラジオの放送スタイルです。
2つのモードは切り替えスイッチを押すだけで簡単に切り替えができます。ミキサーフェーダー素材のレイアウト切り替えや、ワンマンモードに対応したモニターの切り替えを自動的に行うようになっています。
第1スタジオの特徴として6人掛けのテーブルでゲストの多い番組に対応できます。
スタジオ内にはマルチチャンネル対応のトランク回線も用意されているので、バンド演奏などを行う場合はマイクを増設したり、ミキサーやモニターなどを追加することもできるようになっています。
第1スタジオはYouTube配信などに対応するため、撮影用の照明も設置してあります。
エフエムラジオのスタジオとしてはかなり広く、カメラを設置するのにも十分な距離を取れるのでアングルにもこだわった撮影や配信が可能です。
TAKE BOX
TAKE BOXは番組中のCMを出すためのコントロールボックスですが、今回はそれ以外にも生放送中の状態を表示する「ON AIR」ランプや、FU(カフ)の強制ONスイッチ、単体機器のリモートスイッチもレイアウトされています。DJモードの選択もこのボックスから行います。
スタジオとエントランス(ロビー)にはそれぞれ16chのマルチコネクターを用意してあり、公開収録やバンド演奏をするときなど、最大24チャンネル分のマイクを直接ミキサーに入力することができるようになっています。サブ側ではサイドラックの背面にXLRコネクター板で入出力を用意しているので、簡単に接続替えができるようになっています。
ワンマン放送専用の第2スタジオ
第2スタジオはワンマン専用のスタジオ構成になっています。
パーソナリティーがミキサーを操作するスタイルで、操作の負担は増えるように見えますが、エフエム香川ではずっとワンマンスタイルの放送をしていたので新しいスタジオになってもこれまでと変わらない番組制作ができています。
テーブルの奥行きを最低限にしているため、ゲストとの距離感がトーク番組向きになっています。
SX2ミキサーの構成は第1スタジオと同じ16フェーダーのミキサーです。分割タイプのミキサーレイアウトになっているのは、左側の4フェーダーにDAWや中継フェーダーをレイアウトして右側(正面)にはマイクやCDなど操作の頻度の高い素材をレイアウトして操作の多いフェーダーが書面に集まるようにしてあるからです。分割したフェーダーモジュールの間には、FU BOXを置いて手を大きく動かさずにMICのON/OFF操作ができるようになっています。
ワンマン放送ではパーソナリティーがミキサーを操作するので、機材のレイアウトが広がっていると、操作をする時にマイクから離れる可能性があるので、なるべく手元だけで操作ができるようにレイアウトをしています。
見学スペースとしても使用できる大きなロビー
ロビーはサテライトスタジオのような広がりがあり、見学スペースとしては十分な広さがあります。マイクを複数用意した公開番組も余裕をもって行えそうです。
局舎移転前の第1スタジオ
52SXは埋め込みタイプのミキサーなのでテーブルを特注する必要がありますが、アナログミキサーのフレームがシッカリしたものだったので、天板だけを作り変えてはめ込みました。正面に見えるVUメーターも流用していてちゃんと動作しています。
局舎移転前の第2スタジオ(ワンマンスタジオ)
こちらのスタジオも第1スタジオと同じくアナログミキサーのフレームを流用して52SXをはめ込んでいます。この時から対面の程よい距離間のテーブルになっています。
窓の外はロビーで、見学者との距離がとても近い公開スタジオになっています。
まとめ
今回のスタジオ更新は、LSI JapanのAPSシステムの導入に合わせ工事を行い、工事をまとめることでコストの削減とシステムの連携を高めています。また、スタジオ更新によりリスナーとの距離感が近いエフエム香川のスタイルを守りつつ、動画配信などの、これからの新しいラジオのスタイルにも対応する新しいスタジオシステムになりました。基本的なスタイルはこれまでと変えないことで、新スタジオへの切り替えもスムーズに行われました。
52SXから最新のSX2へ切り替えをしてもらえたことは、DHD.audioの使いやすさの証明となり、今後続く全国のスタジオ更新への導入事例の先駆けとなりました。
- システム設計、施工:LSI JAPAN
- DHDシステムアップ:テクノハウス
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※2023/12/1追記 現在下記製品はヒビノ株式会社ヒビノマーケティングDiv.でお取り扱いしております。